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栃木県・群馬県の旅館業許可申請代行。 

旅館業許可申請


宿泊料を受けてホテル・旅館・民泊等の営業を開始するには「旅館業許可申請」又は「民泊の届出」が必要となります。


当事務所では旅館業に関する各種申請に必要な書類の作成・提出を代行いたします。担当部署との事前協議、検査立会いも対応可能です。

ここでは栃木県を例にご紹介しておりますが、その他の都道府県への許可申請も対応可能です。

このページでは民泊新法と旅館業の比較、制度の全体像、手続の流れ、注意すべき点について整理しています。2018年6月には民泊新法を皮切りに関連法規の改正も相次いでいるため、混乱が生じているものと思われます。お問合せの前にご一読頂けると幸いです。

最終更新 2019年12月3日


【目次】

◆旅館業許可申請手続の概要

1、旅館業法(民泊新法)の適用がある場合

2、民泊か旅館業かの選択

 (1)民泊サービスの適法性〜ヤミ民泊のリスク

 (2)法改正により旅館業優位に

 (3)物件を取得する前に注意すべき点

 (4)民泊新法と特区民泊との違い

3、旅館業許可が必要な営業形態と設備の要件

 (1)改正旅館業法の概要

 (2)ホテル・旅館営業の要件

 (3)簡易宿所営業の要件

 (4)下宿営業の要件

 (5)季節限定営業のキャンプ場等

 (6)農家民宿

 (7)ペンション、民宿と旅館の違いは?

4、申請書の提出先

5、事前調査・申請・許可が下りるまでの流れ

(1)建築基準法と消防法のチェックを先に!

(2)建築基準法上の問題〜検査済証の重要性

(3)検査済証がない場合の手続の進め方

(4)防災設備と費用

(5)申請から許可が下りるまでの手続きの流れ

(6)営業開始後の各種義務

6、ご相談の際にご用意いただく資料等

7、申請に必要な書類

8、申請費用

9、当事務所報酬




【旅館業許可申請手続の概要】


1、旅館業法(民泊新法)の適用がある場合

平成30年6月の旅館業法改正により、フロント設置義務の緩和、客室面積数の緩和などの改正がなされましたが、旅館業の許可が必要となる「宿泊」等の定義は依然として厳格に解釈されています。

民泊新法における「民泊」も基本的に旅館業法と同様に解されています。

以下の要件に該当する場合には、名称を問わず宿泊施設に該当するとみなされ、無許可(無届出)営業により処罰の対象となるのでご注意ください。

具体的にどのような場合が当てはまるかは各都道府県により対応が異なる場合もあります。

(1)宿泊料を得て宿泊させる場合    
 
「宿泊料を得て」とは、宿泊料金を徴収する場合の他、名称を問わず、宿泊に付随する費用を得る場合には該当します。寝具の使用料、寝具のクリーニング代、光熱費、家具・家電製品のレンタル、部屋の清掃代等。 無料で提供している場合には該当しませんが、部屋の使用料に上乗せされていると考えられる場合には該当します。

「宿泊させる」とは、実質的に寝泊まりできる施設であれば足り、時間の長短を問いません。夜間に限らず日中や短時間の仮眠休憩できる施設であっても該当します。土日のみの営業であっても該当します。

(2)寝具を使用して施設を利用する場合

「寝具」とは、睡眠するに足りる設備をいいます。施設の側でベッドや布団一式を用意している場合はもちろん、一見「寝具」といえないようなものであっても、横になれる長さのソファやフルフラットシート、毛布等、実質的に見て寝泊まりできるものを提供している場合には「寝具」に該当します。利用者がこれらの寝具を持ち込む場合も該当します。

境界例:宿泊できるネットカフェ・マンガ喫茶ではひざ掛け「寝具」を提供していないため、「宿泊施設」とはみなされていませんが、布団やベッドに相当すると判断されれば旅館業法の規制対象となります。ウィークリーマンションも旅館業の許可を得て営業するよう指導されています。

(3)施設の管理、経営形態から、客室を含めて施設の衛生上の維持管理責任者が営業主にあると認められる場合

→宿泊者の部屋に定期的に入って掃除をしたり、シーツを替える、又はその代金を徴収する等、利用者が快適に寝泊まりするための付随サービスを提供していれば該当します。

(4)宿泊者が生活の本拠としない場合

「生活の本拠」は基本的に住民票を取得できる施設であるかどうかが判断の目安となります。「生活の本拠」に該当すれば賃貸借契約の分野になり旅館業許可は不要となりますが、長期出張や研修のための滞在施設であれば一時的な宿泊であって「生活の本拠」とはいえず、旅館業法の分野となります。


→「民泊」と「旅館業」についてのQ&Aはこちら(厚労省)



2、民泊と旅館業の選択


Q. 民泊サービスの適法性 〜ヤミ民泊のリスク

マンションの空き部屋を短期間提供する場合や、外国人旅行者を対象とする「Airbnb」等は、短期賃貸借契約なのか、それとも旅館業法の適用があるのか?

民泊新法(住宅宿泊事業法)が制定される前は解釈に争いの余地があったため、グレーゾーンの物件も多数存在していました。しかし、平成30年6月15日施行後は旅館業許可又は民泊届出のない物件は違法であることが明らかとされ、現在、無許可・無届出の物件は大手仲介サイトからも削除されています。

ヤミ民泊での事件も相次いだため、これからは周辺住民の監視も厳しくなります。大手サイトに掲載されなければ収益も大幅にダウンします。今後は堂々とに営業するには、旅館業の許可又は民泊新法に基づく届出が必要です。

そこで、民泊と旅館業のどちらにすべきか?悩みどころとなります。

民泊の場合は1年間の営業日数が180日間という上限が設けられている点が最大のデメリットといえます(自治体の条例で期間をさらに短縮する場合あり)。収益性を考えると通年営業できる旅館業が望ましいでしょう。これから物件を取得する場合には、旅館業の要件を満たすかどうか視野に入れて検討すべきといえます。

*栃木県・宇都宮市では民泊条例を制定していないので、国の法律の基準によることになります。旅館業については宇都宮市は独自の条例あり、それ以外の市町村では栃木県条例の基準によります。


平成30年の旅館業法・建築基準法の改正で大幅な規制緩和

民泊新法の制定に伴い、平成30年の旅館業法の改正では客室数による区分がなくなり1室からホテル・旅館として営業できるようになりました。また、公布から1年内(2019年6月まで)に施行される予定の改正建築基準法では木造建築の防火対策の緩和、用途変更の対象となる規模の見直し(100u以上から200u以上)が予定されているので、今まで諦めていた物件でも旅館業の許可が得られる可能性が高まりました。民泊よりも旅館業バブルが到来するかもしれません!

関連項目⇒改正建築基準法の概要

関連項目⇒→検査済証の重要性(3)用途変更


重要です!
物件を取得する前に注意すべき点

物件そのものが格安であっても、そもそも民泊新法(旅館業法)の要件を満たすのか。さらに、設備投資のコストも考えなければなりません。特に民泊の場合は手軽に営業できるような誤解を受けやすいため、物件を購入・賃貸する前に慎重に確認しましょう。

・条例による用途地域の制限
民泊新法は住宅街にある一戸建てや共同住宅も対象としているので、旅館業では認められない住宅専用区域でも営業できるのがメリットです。しかし、住環境を重視する自治体では厳しい要件を課す傾向にあります。個別の条例で制限されていないか事前に確認する必要があります(兵庫県では条例で住宅専用地域全面禁止、軽井沢町では全域で5月と7〜9月の期間限定で禁止の方針)。

参考:旅館業の用途地域
用途地域は計画的で調和のとれた都市の発展のため都市計画区域内にある用途別に区切られた場所です。郊外の閑静な住宅街や工場団地ではホテル・旅館営業はできません。
(1)▲第1種住宅地域(延床面積3,000u未満に限る)    
(2)〇第2種住居地域
(3)〇準住居地域
(4)〇近隣商業地域
(5)〇商業地域
(6)〇準工業地域
(7)×それ以外
(都市計画区域外では用途地域の定めがないため、自治体で特別に指定されていない限り営業が認められます。)

用途区域はどんなもの?⇒当事務所周辺(足利市中心部北部)の都市計画図

・マンション管理組合規約に民泊禁止・転貸禁止規定
民泊新法制定に伴い、分譲マンション管理規約では民泊禁止と明記する例が増えました。また、賃貸物件を民泊に利用する場合には転貸禁止規定がないか(又貸し禁止)もチェックする必要があります。仮に民泊が認められている物件であっても条件が厳しかったり、管理組合の同意が必要であったり、予想以上に手間がかかる場合があります。分譲マンションでは厳しい傾向にあるので、事前に確認しましょう。

・設備構造に関する建築基準法・消防法上の規制
民泊の要件を満たすとしても、建物の安全性が確保されているのかは別問題です。不特定多数人が出入りする建物であるため、建築基準法及び消防法上の規制がかかり、設備投資が必要になります。高層建物、延床面積が広い場合、収容人数が多い場合には要件も厳しくなり、消防設備の費用もかさみます。内装デザインだけでなく、それらのコストも計算しておかないと費用倒れになる可能性があります。

⇒建築分野に関する民泊の安全措置の手引き(国交省)

⇒民泊の消防設備について(消防庁)

関連項目⇒建築基準法と消防法のチェックを先に!


Q.民泊新法と特区民泊との違いは?

一部の自治体では「国家戦略特別区域施行令」(平成28年10月31日施行)に基づき、旅館業法の特例として「特区民泊条例」を制定しています。これらの自治体においては、特区民泊を一時使用目的の賃貸借に類似する契約と位置づけ、旅館業法の要件を緩和しています。特区民泊では認可を受ければ適法に営業することができます。

旅館業法との違いは2泊以上の最低滞在日数が設けられていること、外国人の対応に重点を置いている点です。民泊との違いは用途地域の制限がかかること、年間の営業日数に限定がない点です。

特区民泊条例のある自治体の例

秋田県仙北市東京都大田区新潟市大阪府大阪市福岡県北九州市は既に条例を制定。

民泊特区で営業する場合には主に以下の要件が必要となります。
1、旅館業の営業可能な用途地域であること
2、客室1室あたり25u以上の広さがあること
3、1回あたり2泊3日以上の滞在であること(H28.10改正)
4、外国語対応が可能なこと
5、開業に先立ち周辺住民に適切な説明を行うこと
6、民泊認定を受けること

→民泊特区の情報はこちら(内閣府地方創生推進事務局)



3、旅館業許可が必要な営業形態と設備の要件


改正旅館業法 平成30年6月15日施行

【改正旅館業法の概要】
民泊新法制定に伴い、旅館業法も改正されました。既存の建物・空き部屋の有効活用の観点から小規模経営を可能とする改正内容となっています。主な改正点は以下の通りです。

・ホテル・旅館を統一(法2U)
改正前は洋室・和室、最低客室数等でホテル営業と旅館営業を区別していましたが、新法ではホテル・旅館営業に統一されました。
(1)最低客室数要件の撤廃
  改正前はホテルが10室以上、旅館は5室以上⇒1室から営業が可能
(2)洋室・和室による区別の撤廃
  改正前はホテルが主に「洋室」、旅館が主に「和室」⇒どちらでもよい
(3)1客室の最低面積の緩和
  改正前はホテルの洋室が9u以上⇒原則7u以上に、ベッドがある場合は9u以上に(令1T@)
(4)洋室の要件に関する規定を削除
  ・寝具は、洋式のものであること ⇒削除 
  ・客室の出入口及び窓が施錠可能であること⇒削除 
  ・客室と他の客室、廊下等との境は、壁造りであること⇒削除
  ・(ホテルでは必ず)洋式浴室又はシャワーを設けること⇒近くに公衆浴場がある場合等を除き入浴設備を設ければ足りる(旅館の要件に統一)
(5)暖房器具の設置義務を撤廃
  (ホテルでは)当該施設の規模に応じた適当な暖房の設備があること ⇒削除(旅館の要件に統一)
(6)トイレの数を緩和
  (ホテルでは)水洗式のトイレでかつ便座式のものがあり、共同トイレは男女別の区分があること⇒適当な数の便所を有すること(旅館の要件に統一)

玄関帳場・フロント設置義務の緩和(令1TA・規則4-3@A)
改正前はホテル・旅館業ではフロント設置・対面での受付・鍵の受け渡しを義務付け⇒宿泊者の求めに応じ緊急事態に対処できること(10分以内に現場に駆けつけ)、IT機器で顏認証による本人確認、自動チェックイン等で対応可能

改正に対応して、家主不在型の物件で管理人が遠方にいる場合でも携帯電話のアプリやタブレットを利用した24時間対応サービスなどが開発されています。

・帳簿保存義務期間を明確化
3年以上⇒3年

・罰則の強化
無許可営業の場合の罰金の上限3万円→100万円
その他の業法違反の罰金の上限2万円→50万円

・営業許可の人的欠格事由に暴力団排除規定を追加

⇒改正旅館業法の概要(厚労省)



【旅館業法で認められている3つの営業形態】


以上改正法を踏まえて旅館業法で規制する宿泊施設営業形態及び要件は下記の通りになります。

*設備構造要件は各自治体により異なります。

*施設内で調理して飲食を提供する場合には、別途、飲食店営業許可申請が必要となります。


(1) ホテル・旅館営業

【ホテル・旅館の要件】

⇒簡易宿所営業及び下宿営業以外の宿泊施設

1、1客室の面積は7u以上(ベッドを設置する場合は9u以上)
2、玄関帳場の設置又はその他法務省令で定める基準に適合すること(緊急対応、IT機器での顏認証による本人確認、自動チェックイン)
3、換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること
4、近隣に公衆浴場がある場合等を除き入浴設備を設けること
5、洗面設備を有すること
6、適当な数の便所を有すること
7、ホテル・旅館の周囲100mの区域内に学校等の施設がある場合には、風営法に準じ、外部からの見通しを遮断できる設備を有すること
8、その他条例で定める構造設備の基準に適合すること



(2)簡易宿所営業

⇒宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設。


【簡易宿所の具体例】

二段ベッドや雑魚寝できる宿泊施設、ドミトリー、ユースホステル、ゲストハウス、カプセルホテル、キャビンホテル、宿坊、山小屋・スキー小屋等で1か月以上の単位で滞在期間を設けていないこと(下宿との区別)。

栃木県宇都宮市の例では、「ザ・グランドスパ南大門」、「チサンホテル宇都宮」等が簡易宿所の営業許可を受けています。

「簡易宿所」の特徴は「多人数で共用」する点です。1部屋を知らない人同士で共用することが前提となっています。1人部屋の個室しかない宿泊施設は原則として「簡易宿所」には該当せず、「ホテル、旅館又は下宿」の要件を満たす必要があります。

平成30年改正前は最低客室数や洋室の構造設備条件があったため、1棟貸しの別荘や古民家であっても簡易宿所の営業許可を得ている例が多かったようですが、今後はホテル・旅館業営業に移行するものと思われます。


【簡易宿所の要件】

1、客室の延床面積は、33u以上であること
(収容人数が10人以下の場合、1客室あたり3u以上×人数で足りる)
2、2段ベッドをしようする場合には、上下1m以上の間隔を開けること
3、適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること
4、近隣に公衆浴場がある場合を除き、施設内に入浴設備を有すること
5、洗面設備を有すること
6、適当な数の便所を有すること
7、その他条例で定める構造設備の基準に適合すること


(3)下宿営業

→1か月以上の期間を単位とする宿泊施設です。

短期賃貸借との区別が問題となり、冒頭に挙げた旅館業法の適用がある場合の基準から判断する必要があります。

境界例:利用期間が1か月単位のマンスリーマンションでも寝具の貸出や滞在中に室内清掃サービスを行う場合には賃貸借契約ではなく下宿として旅館業の営業許可が必要となる場合があります。

【下宿の要件】

1、適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること
2、近隣に公衆浴場がある場合を除き、施設内に入浴設備を有すること
3、洗面設備を有すること
4、適当な数の便所を有すること
5、その他条例で定める構造設備の基準に適合すること


*季節限定営業の宿泊施設等

→撤去を前提とする季節限定のキャンプ場、交通の便が極端に悪く利用頻度の低い施設、建築物が重要文化財に登録されている等の場合は、設備の要件が緩和されることがあります。

*近年増加しているグランピングの営業は旅館業法の対象となります。

*農家民宿

→農家民宿は旅館業法の「簡易宿所」に相当する施設ですが、観光誘致のため、旅館業法の規制が撤廃または緩和されています。また、通常は開発許可が下りないような農地でも、法律の条件が緩和されています。


Q.ペンション、民宿と旅館の違いは?

→営業上のイメージの問題であって、旅館業法上はこのような名称による区別はありません。旅館業法上は相部屋であるか等、上記(1)(2)のいずれかの要件に該当するかによって区別され、建物や業態によって特定の名称を用いなければならないという規制がされているわけではありません。


4、申請書の提出先

自治体によって担当部署は異なります。

【栃木県の場合】

営業予定地管轄の保健所


5、事前調査・申請・許可が下りるまでの流れ


【旅館業営業許可申請の前にチェックすべき事項】

申請手続というと、全ての書類を揃えてから担当部署に出かけるのだと思われるあるかもしれません。しかし、実際には何度も足を運び、どの要件が足りないかチェックを受け、これならば申請が通りそうだという段階になって初めて申請書を提出します。

旅館業法の場合には、申請先の役所よりも先に相談すべき機関が複数あるため、複雑な手続に感じられるかもしれません。


建築基準法と消防法のチェックを先に!


旅館業の担当部署は各都道府県の保健所なので、許可要件や営業開始後の規制はトイレ、浴室、換気など主に衛生管理が対象となっています。

しかし、衛生面がどうこういう前に、火災で死者が出るような建物では元も子もありません。先に検討すべきなのは建築基準法及び消防法上の基準を満たすかどうかであり、まずは市役所の建築部署、消防署に相談に行くことになります。旅館業許可の申請手続に検査済証及び消防適合証明書の提出が義務付けられているのもそのためです。

建築基準法上の問題〜検査済証


検査済証の重要性
建物を建築する場合には、建築確認(設計段階)⇒中間検査(工事の途中)⇒完了検査(建物完成後)のプロセスを経ることが原則となっています。
「検査済証」は建物完成後に完了検査を経て交付されるもので、建築完了当時の建物の適合性を証明する書面です。現在の適合性を担保するものではありませんが、一応の目安になるものです。

(1)旅館業許可申請の添付書類として必要

旅館業の担当部署は建築の専門部署ではないため、検査済証で建物の安全性を確認することになります。

(2)増築・改築の際の確認申請のために必要

一定の要件の建物を増築改築する場合には建築確認が必要となりますが、その際にも検査済証を添付します。建物の構造が分からないところに増改築を重ねることは危険だからです。

(3)住宅等をホテル・旅館に用途変更するために必要

 建築基準法では建物の用途・規模により設備構造要件が異なります。
 一戸建てを例にとると、家族しか住んでいない場合と不特定多数人が宿泊する旅館とでは同じ建物の利用であっても天井、壁の防火対策や火災の際の避難経路の確保等、安全性の基準も変わってきます。
 そのため、「住宅」から「ホテル・旅館」にする場合には、用途変更のための確認申請という手続が必要になります。その際に検査済証が必要になります。
 *現行法では延面積が100u以下の場合は用途変更は不要です。改正法が施行されると200u以下に緩和されます。

このように、検査済証は様々な場面で問題となり、旅館業許可申請でも検査済証ないためにつまづくケースがほとんどです。

後述する国交省のガイドラインでは検査済証がない場合の救済手段が設けられましたが、どこまで検査済証と同等に扱われるのか、調査費用もかさむことから依然として検査済証の存在は重要となります。


検査済証がない場合、どのように手続を進めればよいのか


(1)検査済証が手元にない!

最近建築された建物であれば完了検査を受けているはずなので検査済証が交付されています。紛失して手元にない場合、市役所の建築課で台帳記載事項証明書を得て代用できます。

*ただし、自治体によっては代用を認めない場合もあるので、事前に保健所に確認が必要です。

*築浅物件であっても、都市計画区域外では木造2階以下、200u以下の建物ではそもそも建築確認が不要とされています。このような物件には当然ながら検査済証もありません。

(2)そもそも完了検査を受けていない!
実のところ、検査済証がある物件はここ10年の話にすぎません。検査済証がなければローンを組めなくなったため、普及してきたという感じです。

大多数の中古物件は建築確認はしたものの、完了検査を受けておらず、検査済証がありません。

このような中古物件を救済するため、平成27年に国交省のガイドラインが定められ、検査済証のない物件であっても指定機関の適合性調査を受ければ検査済証の代わるものとされました。

調査費用は建物の規模にもよりますが、戸建て住宅でおおよそ8万円〜15万円です。

*ただし、旅館業との関係で検査済証の代用となるのかは、事前に保健所に確認が必要です。

(3)適合性調査が受けられない!?
適合性調査の制度があるといっても、確認済証・確認図書(図面)がなければ調査を受け付けてくれない機関もあります。古い物件ではそれらの図面が残っていないことも多いのが現状です。確認図書の代わりに復元図面で受け付けてくれる機関もあるようですが、復元図面の作成には小さな住宅で20万円〜、ビルの場合には100万円以上かかります。そうすると、金銭面から諦めなければならない可能性も出てきます。

(4)適合性調査の結果、既存不適格建築物だった!
「既存不適格建築物」とは、建築当時は適法であっても現行法に照らすと不適格が生じている建物をいいます。ただちに違法建築物というわけではありません。

せっかく適合性調査を受けたものの、「既存不適格建築物」だと判明した場合には、現行法に適合するよう工事をしなければ検査済証の代用にはなりません。特に問題となるのが、壁や天井を防火素材に替えなければならない場合です。この点、現行法では一度に改修工事を行わなければならず、費用の面から諦めなければならない可能性も出てきます。

(5)用途変更の緩和・段階的な改修工事 改正法に注目!
現行法では、延床面積100uを超える場合に用途変更が必要ですが、2019年6月までに施行予定の改正法では200uを超える場合という要件に引き下げられます。100uから200u以下の物件で開業を考えていて、用途変更が不要ならばスムーズにいくという場合には、改正法の施行を待って着手する方が得策です。

また、改正法では既存不適格建築物についても段階的な改修工事を認めているため、それならば費用が捻出できるという場合も同様です。


防災設備の費用


消防法では建物の規模により必要な消防設備の基準を設けています。例えば1戸建ての住宅を旅館にする場合は、自動火災報知器、非常口誘導灯、防火カーテン・防火じゅうたんが必須となります(延床面積150u以上の場合には消火器も必須)。必要な設備をチェックしてから設備を購入・設置し、消防署の点検を受けます。防災に関する費用は設備の購入費用、取付工事費用、消防署への報告書作成手数料がかかります。

*2階以下の建物で延床面積300u未満の場合には電気工事の要らない特定小規模施設用自動火災報知設備の設置が可能です。

*スプリンクラーの複数設置は高額なため、コストの面であきらめるケースがありました。2018年6月に消防法施行規則が改正され、旅館におけスプリンクラーの基準が緩和されました。


以上のように、旅館業の許可申請に先立って建築基準法・消防法の多岐にわたる要件を満たす必要があります。法令適合性の判断も複雑になるため、個人で判断することは大変危険です。

旅館業営業のために新たに物件を探している場合、または改修工事を予定している場合には、後から条件を満たさないことが分かったということのないよう、綿密な事前調査が必要となります。

当事務所では事前調査のための準備プランをご用意しておりますので、ご利用ください。



【申請から許可が下りるまでの手続きの流れ】

申請までの手続きの流れはおおよそ下記の通りとなります。


担当部署への事前相談
施設や設備の図面を持参し、要件を満たすか、満たさないのであればどのように変更すればよいのか相談します。許可の見込みが立ったら申請手続に着手します。

(*検査済証がない場合は適合性調査、場合によっては図面復元、改修工事が必要な場合又は用途変更・確認申請が必要な場合は工事完了まで2〜3か月かかります。)
      ↓
申請書類の作成・提出
申請書に必要事項を記載し、添付書類とともに担当部署に提出します。
      ↓
消防確認
建物の規模、構造、収容人数に応じて消防法上必要な設備を具備しているか消防署による検査が行われます。
      ↓
学校施設等への意見照会
周辺100m以内の学校施設等への影響が考えられる場合には、施設の長に意見を照会する手続きが採られる場合があります。

*対象施設の種類と施設までの距離は自治体により異なります。
      ↓
現地調査
客室数、客室面積、採光面積、宿泊者1人当たりの面積、延床面積、トイレの数、浴室の数、洗面所の数、帳場、ロビー、食堂、衛生管理状況、消防設備、防火設備その他の建物の設備・構造が関係法令に基準に適合しているかどうか検査が行われます。
      ↓
許可
問題がなければ、許可証が交付されます。
      ↓
営業開始
申請から許可が下りるまでの期間は自治体により異なります。早い場合には1週間程度ですが多くの自治体では1か月以上かかります。


【営業開始後の各種義務】

営業開始後も旅館業法上施設の衛生管理・維持、報告等が義務付けられています。何か違反があれば改善命令、それに応じなければ営業停止、許可取消や罰則の適用があります。

消防法上は年2回の設備点検、年1回の報告が義務付けられています(戸建て中古物件の例)。



6、ご相談の際にご用意いただく資料等


◆建物の登記簿(全部事項証明書)

◆施設周辺図、建物の検査済証、構造設備の図面

◆開業予定時の内装・レイアウト図面

◆具体的な計画案

旅館業営業許可の要件に該当するかどうかを判断するためには正確な資料と具体的な数字が必要です。ご相談いただく際には営業予定の建物に関する手持ちの資料をすべてお持ちください。

資料がない段階でのお見積り・ご相談には応じられません。

法令上の要件に関する一般的なご質問は役所の各担当部署にお問合せ下さい。


7、申請に必要な書類


【申請書】
◆旅館業許可申請書

【申請書記載事項】
◆ 申請者の住所及び氏名
・・・法人の場合は、主たる事務所の所在地及び名称並びに代表者の氏名
◆営業施設の名称、所在地
◆営業の種別
◆季節限定営業、建造物が文化財に該当する場合等
◆人的欠格事由(被成年後見人・過去の業法違反・暴力団等)
◆周辺に学校施設等がある場合にはその旨


【添付書類】
◆施設、構造設備の概要
◆営業施設の構造設備を明示した図面
◆営業場所から半径150m以内の付近見取図
◆建築基準法に基づく検査済証(施設を建築中の場合又は建築完了後)
◆消防法令適合通知書

*定款又は寄付行為の写し、登記事項証明書(法人の場合)
*不動産の全部事項証明書
*登記されていないことの証明書
*身分証明書(成年被後見人及び被保佐人とみなされる者並びに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書)
*不動産の賃貸借契約書(又貸しの場合)
*賃貸人の同意書(又貸しの場合)
*玄関帳場を設けない旅館・ホテル営業については、旅館業法施行規則第4条の3各号に掲げる基準に適合する設備の内容を明記した書類
*水質検査の結果を記載した写し(井戸水・温泉水等を利用する場合)

*印は該当する場合のみ必要となります


8、申請費用


申請費用とは、申請書類に貼付する都道府県証紙=税金です。

◆旅館業許可申請 (栃木県)・・・22,000円


9、当事務所報酬


旅館業許可 標準プラン    385,000円(税込)〜
(営業に利用する延床面積が100uを超える場合)

旅館業許可 シンプルプラン  192,500円(税込)〜
(営業に利用する延床面積が100u以下の場合)

旅館業許可 準備プラン    66,000円(税込)〜

*準備プランは本申請に入る前に事前協議・法令上の調査を行います。本申請手続受任後は報酬に充当されます。準備プランは全額前払い制です。調査開始後に途中解約されても返金には応じかねますので、予めご了承ください。

→お支払方法に関する注意点はこちらをご覧ください。

温泉掘削等・温泉利用許可申請とのセット割引もあります。

詳しくはお問い合わせください。

旅館業に関するご相談はメールフォームよりお願いいたします。



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小沼みつよ行政書士事務所

〒326-0814
栃木県足利市通2丁目2738


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